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オゾン監督のまぼろし、観なくてはいけませんぞ!

フランソワ・オゾン監督の作品がやはり好きなのだ。

何故これほどまでに、派手な展開や大げさでない日常の模写に、

自己の存在を問い返し、向き合えるの時間と、間合いが持てるのか?

オゾン映画は、一見では水や空気のように掴みどこがないが、存在は確かなものである。



本日、日常是映画劇場でご紹介する映画は、邦題【まぼろし】。

原題【Sous Le Sable】(砂の下)と訳す。



まず、批判することに意味ないが、この映画の邦題は良くない。

日本版のこの予告編もかなり酷い、酷すぎ!(どれもこれも押し並べて日本版予告はクソだけど。)

不感症か、よほど子どもじみた大人の(ウマシカ)に見せるためにあるに違いない。

子どもなら柔らかな心で反応できるが、感覚の無い大人に理解させるには、砂を噛む思いだ。

ペッ、ペッ、ペッ! いや、砂の上を歩くかのごとくか?

砂を歩けば、何か奇妙な感じで足をとられる、こちらの存在自体が重くなることに似ている。

まずこの映画をウマシカが観たいというなら、海へ出かけなさい。浜辺を走りなさい。

それから映画鑑賞をお薦めいたしますぞ。



少し過激にはじまりましたが、オゾン映画は好物すぎるため、お許しを。

いや、いいね!オゾン監督。【砂の下】最高な映画です!



映画がはじまると静かに揺れる水面。この映画は制作費不足のため1本の映画だが、

制作段階で2部構成のつくりをしたらしい。なので2部目の冒頭も揺れる水面だった。

前半部分をを35ミリカメラで撮影、後半部分16ミリカメラで撮影するも、

結果的にこれも、喪失感にとてもいい効果を生んでいることを、まずはあげておきたい。


映画に重要なのはまずはシナリオなのだが、映画製作に重要なのは臨機応変である。


どんなに事前に練り上げても、現場でどう対応できるかで、映画監督の価値が決まる。

昔のように湯水のように映画製作費がある時代ではないし、お金をかければよいものでもない。

低予算な映画、撮影日数の無い映画が、大作映画を凌ぐことはけして珍しくはない。



さて、そんな冒頭の静かに揺れる水面のショットから自動車のドライブシーンへ。

ドライブ休憩の日常をブルーノ・クレメルと、シャーロット・ランプリングが演ずる。

多くを語らなくとも、昔に映画【蘭の肉体】で共演したふたりが、画面にいるだけでも、

映画は成立してしまうから、演ずるところのパフォーマンスとは、肌のあうところなのだろう。


この何気ない別荘にいたるまでのドライブシーン、残りものワインとパスタの食事シーン、

ベットでSEXをしたとを思わせるシーン、海水浴にいくシーン。。。。これだけで、

この夫婦の連れ添いとズレを見せてしまうあたり、もちろん、オゾン監督の力量とセンス。



映画ストーリーは、愛する夫が海水浴に出かけた砂浜で、突然に姿を消す。

蒸発失踪?それとも海水浴の事故なのか?それとも自殺なのか?

何もかも不明のまま砂浜に残される妻、これをシャーロット・ランプリングが見事なまでに、

95分間を釘づけで魅せてくれる。彼女をただただ見る映画である。


他にも彼女の存在は大きく、ストーリーを考える上でも、

オゾン監督と脚本家エマニュエル・ベルンエイムだけでなく、多くの意見が織り込まれたらしい。

それでも同じ女性であるベルンエイムさんの考え付いたセリフ、

『だってあなた軽いんですもの』は、あまりに秀でている。女人は怖いね。


それをシャーロットが演じて、高らかに乾いた笑い声は響き、

もう、現場クルーのすべてが凍りついたに違いないのでは?それほど女人は怖い。

オゾン監督もゲイだから、女人三乗して怖いのだ。

いや、後半に登場する夫の母親役のアンドレ・タンシイの存在も恐ろしいほど好演だから、

女人4乗の怖さかもしれない。ブルブル。。。。。



さて、話を戻そう。ストーリーはそのよう経過のなか、妻は夫の存在について、

傍にいて接していた夫を理解していなく、それ自体ががまぼろしなのか?

また消えてから夜な夜な現れる夫がまぼろしなのか?妻は喪失感のなかで揺れるのだ。。。。

(それで邦題がまぼろし。陳腐でしょ。)



オゾン監督はいう、この映画は泣きながら妻が砂を掴むシーンが描きたかったと。

推測すると、突然に砂浜で消えた夫。その後、いくつかの揺れる妻を描くシークエンスがあり、

真実と現実にいたるのだが、どんなに泣いても、砂は手のなかから涙のようにこぼれて落ちてく。

ブログ冒頭でも戯言のように例えましたが、誰でも砂の上を歩くと足をとられてしまいます。

自己の存在以上の重さを感じてしまうあの感覚。誰かを突然失った喪失感とは、

そのような感覚に近いのかもしれない。


そう、そしてあの砂浜を走りゆくラストシーン。もういうまでもない。

砂に足をとられても妻は走る。いったい砂の下にはなにがあるのだろう。

この映画【Sous Le Sable(砂の下)】、オゾン監督の代表作であり、素晴らしい1本。


そしてシャーロット・ランプリングの演技があまりに魅せられるから、

オゾン監督が、彼女の顔をアップの寄りの絵で撮影したいのもわかる。いや、その素顔だけでなく、

足も、背中も、そのすべての肌に沁みわたる血の演技に寄り添いたいのは、皆同じだろう。


オゾン監督は、そのアップについてこのようようにいう。イングマール・ベルイマン監督と。


*参考:ベルイマン監督【鏡の中にある如く:神の沈黙3部作の1本目】


スウェーデンの生んだいわずと知れた、生と死や憎悪を前に神の沈黙を描いた巨匠監督である。

そうか、オゾン、そうか、と頷いたよ。ウン、ウン。。。



*参考:ヒッチコック監督の【めまい】


他にもアルフレッド・ヒッチコック監督のことも。。。。。まあ、ぼくの足りない文才よりも、

DVDに特典映像として収められた、オゾン監督と脚本家ベルンエイムの掛け合いの解説、

その話は面白いですから、鑑賞後にぜひとも。


フランソワ・オゾン監督の新作に期待! また、オゾン映画に抱かれたいよ。

いや、オゾン監督にも抱かれたい!  チガウカ? ほほほ   出町光識


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出町光識ホームページhttp://www.mitsunoridemachi.com/


~器展の告知~
◇出町光識うつわ展 ギャラリー一草庵
 9月28日~10月9日  愛知県岡崎市洞町東前田10−3  TEL 0564-26-4851
 震災の年に展覧会のお断りをして、延期となった企画が、今年は岡崎市で開かれます。
お近くの方はお立ち寄りください。掌におさまる小さめの花器など並ぶ予定。


◆出町光識うつわ展 ギャラリー昨明
 10月3日~14日 福島県いわき市田人町南大平川平35−4 TEL 0246-69-2390
 震災後になって、はじめての福島での展覧会になります。ぼくの茨城でも災害を受けました。あれから作品は大きく変わり、色彩が豊かなものを作っています。お近くの方は是非お出かけください。


~展覧会の告知~
開催企画:小名浜国際環境芸術祭
開催場所:環境水族館アクアマリンふくしま(福島県いわき市) 
開催期間:2012年9月15日(土)~11月11日(日)
*2003年に開催されてから今回で9回目。キッズアート展での関連企画で、
ぼくと福島県立博物館の連携で実行した、震災後に福島県内外(世界中)の、
子どもたちから寄せられた、アクアマリンへの応援する魚の絵メッセージカードを、
2012再構成展示しました。ご協力してくれた子どもたちありがとう!

他にも大漁旗デザイン展や地球環境の保全、海洋資源の持続可能な利用をテーマとした、
芸術作品を展示されます。 ぜひ福島へお出かけください。

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by ubusuna-art | 2012-10-06 07:24 | 映画・テレビ(寄り神)


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