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葬儀決めの夜。

隣の家人が亡くなった。約30年あまりの間、病気発症後たたかってきたらしい。

発病は30代で、その後は持病もあるが、様々な合併症が続いたらしい。

それでもお酒が好きで、とてもヤンチャな男儀もあって、職人らしいヒトだった。

なので組内には、農家ばかりがすんでいるので、あまり村社会ルールにとけこめない、

新参者のぼくに、『でまちさんと俺だけが、ここでは同じ職人だろ。』と、

何かと気にかけて話しかけてきてくれた。一緒にどこへいくということなどはないが、

冠婚葬祭のおりには、いっしょにだいぶ呑んだもの。




白い布を顔にかけ、布団に横たわる姿に、線香をあげる手も震え、涙があふれた。

その後の会合で、毎度のことだが葬式の仕事決めの話をするも、みな組内に生きがない。

これまでは親の世代だったが、自分と同じか、それより年下の60そこそこの命の果てに、

みなが酒を交わすも、どうにも無言が続く。ましてやいつも、冗談ばかりいって盛り上げてくれた、

故人はそこにはいないのだから。しかたあるまい。それにそろそろ、組内のなかでも、

冠婚葬祭の会合に出てくるメンツにも、息子に譲る考えのヒトもあり、なおさら寂しいのかもしれない。

ヒトは老いて、いつのまにか主役から脇役、それから舞台袖へと移り、ついには舞台には上がれない。

世阿弥の花伝にもあろうが、そのようなことは生き物の決まりごとなのだろうから。

湿りける組内の男たちに、残された奥さんが気をつかい、

『酒が好きだったんだから、OOといっしょに呑んでやてけれよ』と、一升瓶を注いでまわった。

この奥さんと亡き旦那さんの掛け合いの夫婦漫才のような会話も聞けないね。

ここに住んで14年ほど、自分にとって最も悲しい葬式かもしれない。   出町光識



***展覧会の案内***
出会いのシミ ~ある男との出会いから~】展
会期:2012年6月9日~20日
会場:ART FORUM JARFO(特定法人京都藝際交流協会)
京都市東山区三条通東大路東入今小路町81番地1F
Tel: 075-751-0044 Fax: 075-751-6644




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出町光識ホームページhttp://www.mitsunoridemachi.com/
by ubusuna-art | 2012-06-17 09:34 | 民俗風土(産土神)


出会いはアート。アトリエでのアート制作と、夜な夜なの日常是映画劇場のご案内。出町光識の脳内ナビゲ―ション日記  


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