闇にうち濡れる男

闇降る夜の雫に濡れて、見えぬ双峯山の頂の官能すら、底知れぬ恨みが蛇のようにヌルリととぐろを巻いて、葦沼の底に深く深く沈むごとく。。。それが私という男です。



田舎村の自然は、風も澄んで豊かですねと、東京からきた先生たち(文人)はいうけれど、

自然の正体とは、この上なく残酷なものです。なぜなら、私自身も自然という一部です。

その恵みの風すら、私は頬のたるみにあてることができない。風を感じたくとも、

ここまでひとりでは動いて来ることはできないのです。

自然というなかで、弱い者は常に、勝ち生き残る者の生贄にしか過ぎないという、掟があります。

身体が五体満足に、健康で生まれた者ならまだしも、奇形であり、丈夫でない私は、

赤子のようにひとりでは、動いては何もできないのです。

かんしゃくをおこし、泣きじゃくるコミュニケーションしかとれない、成長できない赤子です。

それでも唯一、自由がきき、動かすことのできる手があれば、その触覚を頼りに、

虫のようにモゾモゾと筆を走らせて、沼のように重く湿った布団のなかに生きても、這いつくばって、

書きつづけられる手紙という希望に、想いをつづる他ないのだ。そうしないと、

身体が松の木のような奇形どころか、頭までがねじ曲がって、おかしくなりそうなのです。

とても正気ではいられないのです。あのたしかに、川向こうにある地平線の遠くに見える、

万葉集にて恋に唄われた双峯山、女山男山すら、恨めしい人の恋路のようで、

憎らしゅうて憎らしゅうてしかたない。私がこんな醜く惨めな身体でなければ、

村の幼なじみの従妹にも、好きな想いも告げられようが、それはけして、

父母両親ともが許すことが無い。それどころか、娘の父親である医者が、罵りと怒りに震え、

家族に何をしでかすかわかりはしない。所詮は生まれながらの敗者である私は、

それらの感情を文字につづり、奇麗な花のように、あるいは万葉の言葉の衣を着せて、

東京の文人や文壇へと、投稿を書きつづるしかないです。

でも本当のところはそうでないのだ。。。。ほんとうのところそうでないのです。



ほら、朝しがた、母が野良の畑仕事にでる前に、食事だと仕度をしてくれた、

粥飯や漬物に目をやれば判る、万物の真理があります。

私を小馬鹿にする、うるさい虫くれの蠅すらが、粥の上につかり、交尾をしているではないか。

自然とは性と死という法のなかで、残酷なエロチシズムの詩に満ちている。

いや、ただそれら森羅万象の万物のように、私は女と男というふうに、

普通に生きてみたいのです。



*ある障害者の男のひとを思い浮かべて創作に書きました。   出町光識

オマケ、その障害者の愛した【万葉集】から。






***展覧会の案内***
出会いのシミ ~ある男との出会いから~】展
会期:2012年6月9日~20日
会場:ART FORUM JARFO(特定法人京都藝際交流協会)
京都市東山区三条通東大路東入今小路町81番地1F
Tel: 075-751-0044 Fax: 075-751-6644




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by ubusuna-art | 2012-06-16 15:26 | 民俗風土(産土神)


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