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ゆれる

この数日でDVDで観た映画。三木隆監督【『転々』、中島哲也監督【告白】、西川美和監督【ゆれる】。

どれも三者三様に楽しめる作品。それでも好みとしては、西川監督の【ゆれる】は秀逸。

予告編を見て、ぜひ劇場で観たいと思わせた程の映画だったからね。(劇場では観れなかったけど。)

面白くない訳がない。なによりもまず、【ゆれる】というタイトルが日本映画なのだ的でたまらない。

タイトルを聞いたときに、すぐに思い出したのは、まったく関係はないのだが、

成瀬巳喜男監督の【乱れる】という映画。あの感じなのかなと、ぼくにはかなりすぐるもタイトルだった。





この映画は人の感情表現の演出が華美ではなく、シーンやカットを不足させることにより、

惹きつける上手さあり、心地がよい。といえ人間描写はとても繊細で、女性らしい日常の気づきを、

重さ軽さに寄らず随所に感じさせてくれる。それらは明らかに監督の持つ演出の妙味であり、

役者たちはいつもの出演作のとは違って見えてくる。

それぞれが見間違えるほど演技が濃厚に見えてくるから、ほんとうに良い意味で恐ろしい監督だ。


他にもあのフェードアウトにもたまらなさがある。それは日本的な要素を、

お洒落と見間違うほどの間合いを産みだし、なおもカメラマンである、故・高瀬比呂志さんの、

しっとりとした絵作りが、極上の日本映画の豊かさを紡いでいく。


構成に関しては、各シーンが対比構造の人物図やシークエンスを随所にまき散らしてあって、

とても美しく、わかりやすい。ヒッチコック映画術の手本のようだ。お見事。


そして何といっても、【ゆれる】というキーワードも人物それぞれに同じこといえるのはいうまでもない。


さて、ストーリーはどんなものかといえば、日本昔話といえばよいだろうか。

川、高い場所(昔話では崖が多いが。。)、橋、兄弟、田舎と都。

最後はめでたしめでたしという感じかな。(ネタばれしないように大雑把。)


さて、今の時代は女優である田中絹代さんが監督を務めた昔とは違い、女性監督は珍しくもなく、

名作をつくっている。しかも軽々とはいわないが、簡単に男には渡れない川に架かる橋を渡っている。

たとえばこれが、黒澤明監督の【羅生門】のようなものに似ているなと思ったりしたなら、

ぼくのような男の心は、嫉妬に、ゆれる。 この映画は名作である。   出町光識        


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出町光識 陶展 -春のお茶を楽しむうつわたち-
【神楽坂 暮らす。】 4月6日(金)~30日(月) ※火曜定休 pm12:00~19:00
〒162-0805 東京都新宿区矢来町68 アーバンステージ矢来101
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出町光識ホームページhttp://www.mitsunoridemachi.com/
by ubusuna-art | 2012-04-17 21:17 | 映画・テレビ(寄り神)


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